前作「定年バカ」が面白かったので読んでみました。こちらも面白かったです。
この本全体から感じたことー
著者はこの本を書くためなのか、定年関連本はかなり読んでおられるのですが、「本人の経験や価値観の範囲でしか語れないよね」と言っていて、”そりゃそうだ。それを正しい在りようのように受け止めて、真似しないと不幸になる or 真似すれば上手く行くと思うことこそ不幸の始まりなんだな”、ということがやっと腑に落ちてきました。
私は、自分とは反対の価値観「いつまでも働くことが正解」だとか、「可能な限り(働くことに限らず)社会参加して豊かな人間関係を育むことが正解」だとかいう意見を見聞きすると、動揺します。
「やっぱり、”わが道を行けばいい”と割り切れていない私が、今の生き方続けても上手くいかないのかな」って。
私の場合、自分の存在の大前提が「自分はダメだ」だからだ、というのが大きいのですが。
もう一つは、「不安商法」的話の進め方について。
特に定年前後の人たちで、「お金も十分、健康状態も絶好調で不安材料ゼロ、人間関係も良好過ぎるくらいで毎日楽しく充実していて、もう、生きるって素晴らしすぎる!これまでの人生に後悔も悔いもないし、今後も今の方針で生きていけばいいって自信を持って言える」人なんて、いないでしょ。(いたら、その人は意識的・無意識的に目を逸らして、見ていない現実があるはずだ)
だから、不安を煽るのは簡単。
そうだな、私は自分から不安になりにいくところがあるけど、不安商法に乗せられてる。あー、また不安になってる~、で止めて、スルーする努力はしよう、と思えました。
著者は男性脳、女性脳の本を数冊出している黒川伊保子さんについて、わけのわからないことを言っている、バカ度ナンバーワンと断じていました。私は著者の奥さんと話してみたくなりました。
黒川さんは筆が走り過ぎるところがあるとは思いますが、以前著作を読んで、”女性の思考パターンはこんな感じだよ”と言っているのはおおむね当たっていると感じたので、それを「訳が分からん」と一刀両断して終わることが出来る著者の思考回路こそが、女性を理解しようとする目線欠落の証拠の気がして、この人の妻はどう感じて暮らしてきたのか興味がわきました。・・・お話を伺う機会はないでしょうが。
爺さんたちの一定数が(特集した雑誌などが売れる程度には)、「もてたい」と思っているらしく、笑えました。もてるおじさん、爺さんは、美魔女と同じくらいの希少種で、簡単にはなれません、と言いたい。
60代以降の女性向けの雑誌で、「もてる女の云々」なんて特集しても、受けないでしょ。多分。多くの女性は、「もう、そういうの、いいです」と思っている気がします。縁があれば、また…くらいに思っている人とか、パートナーを探している人はいるでしょうが、「もておやじ」と同じ空気感の人はごく一部な気がします。私が分かっていないだけかもしれませんが。
・・・口では恋愛は自由と言いながら、私はある年齢以上の人たちが、色欲を表に出してギラギラしているのを目撃したくないようです。私から見えないところでやって欲しい。
自分にはどうしようもないことでじたばたしたり、違う自分になろうとしたり、そういう無駄なことは止めようと思えました。
あと、お金だけは、どうしようもないとよく解りました。結局は、手持ちでやっていくしかない。それだけの話。