シンプルライフへの遠い道

心穏やかな暮らしを目指して奮闘中

定年おめでとう 渡辺格著

先日読んだ定年バカで紹介されていて気になったので読んでみました。価値観が近いこともあり、とても読みやすく、すんなり入ってきました。この人は、確かに「定年後の達人」。 

著者は自分のやりたいことや好みを大事にしつつも、加齢に伴う衰えも織り込んでの軟着陸も考えて、別荘や車を処分したり、川釣りを止めて海釣りに切り替えたり、以前よりは手のかからない種類の木を育てる方にシフトしたり、仏教の勉強をしてみたり、万事しなやかに動いている”達人”でした。実際にやってみて、調べてみて、柔軟に考えや対処を変えるのは簡単ではないのですが、それを実行しているように見えました。

持病の胆管炎も、何年も再燃を繰り返して苦しんだこともあり、自分で食養生、薬の使い方などを工夫して、近くのホームドクターに処方してもらって今は上手く付き合っているそうで、「自分のことは自分で考えて決める」スタンスが大事なんだと再確認。 

わんこについては、西欧のしつけ本を日本に紹介してきた方のようで、アマゾンを見ると著書がいくつもあります。

著者はあの世でのわんこたちとの再会を望んでいて、

無情な飼い主(私もそうであったことがあるが)が犬を裏切るのを何度も見聞きした。でも、犬が飼い主を裏切ったことは絶えて知らない。

と言っているのも、深く頷けます。人間同士だと、嫌なことも沢山出てくるけれど、わんこだと不思議と出てきません。困ったこととか、腹が立ったこととか沢山あるのに、それは思い出に過ぎず、亡きわんこに(今いるわんこにも)いいイメージしかないです。不思議ですが、愛犬家とはそういうものなのかも。 

私の経験からすれば、人の愛情に一番正直に答えるのは植物、次が犬、最後が人間のようである。植物は、適切な管理をしさえすれば、必ず望み通りのお返しをしてくれるものだ。

 

自分と同じ考えがいくつもありました。

食養生:専門家の意見は参考程度にして、自分で広く学んで自分に合う方法を見つけるしかないようだ。

投資:リスクを計算しながら毎日頭を悩ませ、数十万、数百万を稼いでいる暇はない。

仏教:原始仏教で言われている(と著者が解釈した)「仏陀の教えを受けて、自分で考え、自分の言葉で悟り、そして生きる」を実践するように日常生活で努力していきたい。

2年以上使っていないものは手放す、必要以上に食べない、ホームレス支援に参加、など著者はしっかり実行していますが、自分は・・・。 

趣味(園芸、釣り、わんこ)にどっぷりつかって極めて来た人だけに、趣味についての意見はとても参考になりました。

趣味は人生を豊かにしてくれる。しかし、そこにはさまざまな労苦が潜んでおり、それらに真摯に対応することによってこそ、真の楽しみを味わえるのである。それは、苦労して山道を登り、見晴らしの良い山頂に立ったような気分に似ていると思う。

生半可な気分で趣味を持てば、たしかに時間潰しは出来ると思うが、おそらく、死を前にしたとき、後悔するのではなかろうか。

ある趣味において自分なりに満足できるほど上達し、荘子の言う「至楽は楽しみなし」とそこからいつでも足を洗ってもよい、と納得する心境に達するには、それなりの努力が必要である。しかし、俗人にとっては、それが執着をはなれる近道のような気がする。

 う~ん、そうだろうな~と思うだけに、自分を振り返ると、「まだまだだ」という言葉しか浮かびません。今はわんことの別れが怖い(わんこのいない生活で幸せにやっていけると思えない)のですが、その解決策は、今のわんことの暮らしに真摯に取り組む、ということのようです。

この本を読んで、園芸をやってみてもいいのかも、とちょっとだけ思いました。植物は知らない間に枯れてしまったり、虫にやられてしまうので、世話できないのですが・・・。

 私は、人間というものは、すべてにおいて常時自己の限界を念頭において生活すべきだと思う。 

最近強く思うようになりました。パートを辞めるのもあれもこれもできないことを受け入れて、優先順位を考えたら・・・というのも大きかったです。

これからは加齢による衰えに合わせた縮小が必須なので、それを必要以上に寂しく思わずに実践して行けたらと思います。