シンプルライフへの遠い道

心穏やかな暮らしを目指して奮闘中

人生は手放した数だけ豊かになる マルガレータ・マグヌセン著

スウェーデンの終い支度(死のお片付け)についての本。
80代女性のエッセイな感じでした。
この本の原書はずっと前にネットで紹介されていて、是非読んでみたいと思っていました。
日本語版が出たので、さっそく読みました。

「片付け方の本」として読むと、復習な感じです。
・急がす、無理せず、でも確実に物を減らしていきましょう。いずれ自分は衰えるのだから。
・人に譲る場合は、相手の迷惑にならないように

エッセイとして読むと、「終い支度」にもその人の人生観が出るんだなぁ、と刺激になる部分が沢山ありました。

著者は画家で、手直ししたい描きかけの絵も沢山保存してあったそうですが、それらも処分したそうです。
お陰で他の物の処分がしやすくなったとか。
 -私の手芸関係もいずれこの道をたどることになるでしょう。
   まだ、そこに手を付ける段階まで行っていませんが。

夫が亡くなったあと、著者は一人で一年がかりで家の中を片付け、小さな住まいに引っ越したそうです。
一つずつ整理して、サイズダウンして新生活を始めるには年単位の時間がかかるんだな~と励まされました。
自分にダメ出しをする嫌な癖があるので、「遅い」「進んでいない」だの雑音が聞こえてきます。
少なくとも3年ほど前からは、買い物もかなり控えるようになったし、処分を続けてきたので、家の中のものは着実に減っているのに。

思い出深いものたちと再会したり、手放したりすれば、感傷的になってしんどくなる時もあるでしょうが、一度一通り見直して、本当に大事なものだけを残す作業をすると、軽やかな気持ちで未来をイメージできるようになるようです。
これも他で見聞きして、情報としては知ってはいましたが、この本を読んでいると、ふんわりと心に届くものがありました。経験者の声というのと、押しつけがましさのない文章がそう思わせてくれました。

自分が断捨離しようと思う理由の一つが、「いつ死んでもいいように」ですが、この理由の半分は、「はやく人生から降りたい。しんどすぎる。いつお迎えが来てもいいように準備はしておこう。」でもあります。
今後はもう半分の気持ち(未来を明るく期待する気持ち)にフォーカスして暮らせるように片付けよう!になったらいいなぁ。


そろそろ終い支度を始めた方がいいと思いつつ、周りに言われると「はやく死ねってことかしら」と嫌な気持ちになったり、思い出に触れることをためらったりしている人にも、”ちょっと始めてみようかな”というきっかけになる本だと思います。多分。