シンプルライフへの遠い道

心穏やかな暮らしを目指して奮闘中

クレーの絵本 谷川俊太郎著

クレーの絵にインスピレーションを得て書かれた詩集。

この本に載っているクレーの絵は、抽象的で、どうにでも受け取れるような、意味不明なようで、意味ありげな不思議な絵が多かったです。個人的には、割と好きだけど、家には飾りたくない感じ。無意識を揺さぶられて、耐え難い想念が昇ってくるかもしれない感じがします。


気に入ったのは2編
とくに「階段の上の子供」は、どう解釈すればいいのか分からず、その分からなさに惹かれました。


階段の上の子供

かいだんのうえのこどもに
きみははなしかけることができない
なくことができるだけだ
かいだんのうえのこどもがりゆうで

かいだんのうえのこどもに
きみはなにもあたえることができない
しぬことができるだけだ
かいだんのうえのこどものために

かいだんのうえのこどもはたったひとり
それなのになまえがない
だからきみはよぶことができない
きみはただよばれるだけだ



死と炎 

かわりにしんでくれるひとがいないので
わたしはじぶんでしなねばならない
だれのほねでもない
わたしはわたしのほねになる
かなしみ
かわのながれ
ひとびとのおしやべり
あさつゆにぬれたくものす
そのどれひとつとして
わたしはたずさえてゆくことができない
せめてすきなうただけは
きこえていてはくれぬだろうか
わたしのほねのみみに