この本に載っているクレーの絵は、抽象的で、どうにでも受け取れるような、意味不明なようで、意味ありげな不思議な絵が多かったです。個人的には、割と好きだけど、家には飾りたくない感じ。無意識を揺さぶられて、耐え難い想念が昇ってくるかもしれない感じがします。
気に入ったのは2編
とくに「階段の上の子供」は、どう解釈すればいいのか分からず、その分からなさに惹かれました。
階段の上の子供
かいだんのうえのこどもに
きみははなしかけることができない
なくことができるだけだ
かいだんのうえのこどもがりゆうで
きみははなしかけることができない
なくことができるだけだ
かいだんのうえのこどもがりゆうで
かいだんのうえのこどもに
きみはなにもあたえることができない
しぬことができるだけだ
かいだんのうえのこどものために
かいだんのうえのこどもはたったひとり
それなのになまえがない
だからきみはよぶことができない
きみはただよばれるだけだ
死と炎
かわりにしんでくれるひとがいないので
わたしはじぶんでしなねばならない
だれのほねでもない
わたしはわたしのほねになる
かなしみ
かわのながれ
ひとびとのおしやべり
あさつゆにぬれたくものす
そのどれひとつとして
わたしはたずさえてゆくことができない
せめてすきなうただけは
きこえていてはくれぬだろうか
わたしのほねのみみに
わたしはじぶんでしなねばならない
だれのほねでもない
わたしはわたしのほねになる
かなしみ
かわのながれ
ひとびとのおしやべり
あさつゆにぬれたくものす
そのどれひとつとして
わたしはたずさえてゆくことができない
せめてすきなうただけは
きこえていてはくれぬだろうか
わたしのほねのみみに