セネカの文章の中から、死にまつわることを集めた本。
セネカの時代は、いつ処刑されたり、自殺を命じられたりするか分からない政治情勢だったことから、自殺についての考えは武士道のそれに近いものを感じました。
今も理不尽は沢山ありますが、今の日本では、不当に処刑されることはまれなので(私がそう思っているだけなのかもしれませんが)、時代が変わると切迫度が全く違うんだな、と改めて思いました。
自分で死に時、死に方を決める話は、簡単に自分自身に引き寄せて考えることは出来ませんでしたが、何かをやめる・諦める時に執着をどう断つのか、と読み替えると、なるほど、と思うところが沢山ありました。
生まれた時からいずれ死ぬことだけははっきりと決まっていて、誰にも逃れられないのだから、死を恐れることに意味はない。
生とは、いつまでもしがみつくようなものではない。
大切なのは、穏やかな心で、堂々と立派に死んでいくことだ。
目指したい境地。そのためには、自分の人生でコントロールできる部分の指揮権を手放さないこと、コントロールできない部分は流れに任せる胆力が必要ですが、まだまだです。
生きつくせば、人生は十分に長い。
殆どの人間は、死の不安と、生きる苦しみの間を哀れに漂い、生きようともせず、かと言って、死に方も分からずにいるのだ。
耳が痛い・・・。
どれほど尊いものも、失う覚悟を持ち合わせていなければ、ありがたみを感じることはできない。
わんことの生活を考えると、そうだな、と分かります。
自分にとってのよい死に方とはどういうことなのか、死ぬときの状況なのか、心理状態なのか、自問することで自分の価値観も整理できるだろうし、自然と優先順位も付いてくるのかな、という気がします。
これからの課題です。
今は、いつ死んでもいいと思えるような状態(心理面でも、身辺整理でも)を目指して、日々過ごしつつ、自分なりの答えの変遷を見つつ・・・かな、という気がしました。