著者の他の本を読んで面白かったので読みました。
沖縄の病院を退職後、就職活動をしながら、「野の医者」の調査・研究をしてまとめたもの。
野の医者・・・資格のある医師もいるし、占い師、ユタなども。
野の医者が、どんなふうに人々を癒しているのか。
著者は大勢の「野の医者」に実際に会って、セラピーを受けたり、話を聞いたりしています。
興味深かったのが、私がアロマを通じて知ったコミュニティーもこの「野の医者」の一つだったこと。アロマの人たち(と私が呼んでいる)は、妙にハイテンションで、アロマ効果を信じているし、占いなどもやる人が多い印象です。話を聞くと、多くが、ご自身に何か悩みや苦しみがあった時に、アロマや占いなどで癒された経験がありました。
この本でも同じことが語られています。
苦しみを抱える人たちが野の医者に頼る⇒効果がある⇒一部の人は、自身も野の医者になっていく
治療者は診断を告げることで、なぜ病になったのかのメカニズムを説明し、そして治癒の形を提示し、その為にどうすればいいかを説得するのだ。
そして、クライエントはそれを自由自在にブリコラージュして、自分なりの治癒を組み立てていく。
治療とはある生き方のことなのだ。心の治療は生き方を与える。そして、その生き方は一つではない。
心の治療とは、クライエントをそれぞれの治療法の価値観へと巻き込んでいく営みである。
こういう著者の主張は、なるほどな~と頷けることばかりでした。
心の治療は時代背景とニーズも反映しているし、治療法によって治癒の形も違うので、そういう意味では正解はない。・・・そうだな、と思います。
心の治療に限らず、人は自分に合う方法でないと受け入れなかったり、選ばなかったりしますし・・・それが生死に直結しやすいがん治療でも。
何か「正しいこと」があるわけではないんだな~。
ゆるっと、いい加減で、様々なことが混ざりあったり、分かれたりしながら動いているんだな~と感じた1冊でした。
これまで頭でっかちで、自分を言葉で規定しようとしてきたけれど、ここ数年は体感や曖昧さも大事にしたいと感じるようになりました。当面はこの方向でいいのかも。
読みやすくて、楽しい1冊でした。