シンプルライフへの遠い道

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心病む母が遺してくれたもの 夏苅郁子著

副題:精神科医の回復への道のり

著者の半生記。

著者のお父さんは、あまり家に帰ってこず、家にお金も入れない人だったそうで、そういうストレスもあってかお母さんが統合失調症を発症。お父さんも子供だった著者も、最初は母親が精神疾患だとは分からず、治療も遅れ…今でいう、ネグレクト状態で育ったそうです。

その後、医学生になってから、友達を作ろうにも人付き合いの仕方、距離感が分からず上手くいかなかったりで、摂食障害になったり、自殺未遂したり…と、読んでいても、ずーっとしんどかったんだな…生き延びただけでも、十分頑張ったんだな…と心に重いものが残りました。

色々な人との出会いや経験から、学びや気づきを得て、回復していったそうです。

 

人それぞれなので、私も勇気を出して、出会いを大事にして、回復していこう!と単純には思えない部分もありますが、自分のペースで、出来る範囲で心を開いていられたらいいな、とは思います。

 

自分に言いたいのは「焦らず、一歩ずつ」でしょうか。

 

どんな病名であれ「症状には必ず意味がある」と考えるようになりました。周囲の人々にとっては「とるに足らない出来事」であっても、当人の心に傷を残したままでいると、それがのちに精神の病の「種」になるように思います。

気持ちの整理というのは一足飛びにできることではないのだとつくづく思います。その時々のタイミングで、目の前にある葛藤や不安を一つ一つ丁寧に解決していかないと、積もり積もった感情の山はいつかその感情の持ち主の手を離れ、暴走してしまいます。

聞く耳を持つにはタイミングが重要だ。

依存させてばかりいるのは決して良い治療ではない。「とりあえず一歩踏み出す」ことが回復へとつながる。