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どこからが心の病ですか? 岩波明著

どこからが心の病で、どこまでが気持ちの変調や性格・個性の範囲内なんだろう?と日ごろ疑問に思っているので読んでみたのですが、この本に答えはありませんでした。
10代~20代前半の若年層に多い精神疾患の解説書でした。

うつ病双極性障害パニック障害摂食障害、依存症、統合失調症、身体表現性障害などの代表的な精神疾患の基本情報は既に持っているので、この本は復習になりました。
パーソナリティ障害や発達障害を「疾患」としていることには、微妙に違和感がありました。
「平均的な正常範囲の外にある」という意味では「疾患」と呼ぶのが妥当なのかな?とは思うのですが、「疾患」というと、「正常に戻すのが望ましい、異常な状態」と私は捉えているようで、「変えられるのか?変わる必要性はどの程度あるのか?」と違和感が生じるのだと思います。

アダルトチルドレンを病気扱いしていることには、反論したいですけど。
正常(望ましい・健康的な精神状態)ではないことは認めますが、「病気」と言うなら、治療法を出してよ!と言いたい(笑)
著者は、心の病はマスコミなどにより「流行」が作られているこのを説明にACを取りあげていただけですが、私はどうしてもACやトラウマの扱い方でその人を見てしまいます。

著者は、
・疾患ではない気持ちの変調の振れ幅も大きいことがある
・診察時、情報の一部しかなく(本人や周囲の人に問診しても出てこない情報)、判断しずらいことや、他の症状に病状が隠れていることもある
・そもそも、心の問題は数値化して診断することが基本的には無理なので、診断基準があいまい。
 グレーゾーンが幅広い・・・
・状態・症状は変化していく
などの理由から、診断が難しことが多く、経過観察が必要でもある、と言っていて、それはそうだろうと思いました。


パニック障害の発作はカフェインなどの摂取物が引き金になることがあるそうで、目新しい情報でした。
真偽は不明ですが、統合失調症は一部のビタミン(記憶があやふやです。微量元素だったかも)の利用能が低い体質が一因という説をどこかで見たことがありますし、まだまだ分からないことだらけで、今の診断基準や説が、たとえ科学的根拠があっても、正解とは限らないな、と思います。

精神科医は特に相性が大事だな・・・とも思いました。
この著者はトラウマを否定的に見ている印象を受けました。それがいい、悪い、ではなく、私が診てもらっても、いい方には進まないだろうな・・・(相性が悪そうだ)と感じました。
診察の時に、体調の変動をACな自分と関連付けて話したら、否定されるんだろうな・・・と感じる相手を信頼して指示に従おうとは思えませんから。
ただ著書を読むだけなら、自分とは違う視点の人は自分の偏りに気づいたり、別の立ち位置を知ったりするのにプラスですけど。


結局、「どこからが心の病か」は素人にもプロにも厳密には言い切れない、ということが分かりました。