2015年刊の「日本人の働き方が9割ヤバい件について」を加筆修正・改題した本。
2021年4月刊。
これまで家計管理を除く経済や労働についての本はほとんど手に取らなかったのに、たまたま図書館の新刊本コーナーで見て借りました。夫退職の話が出る前。虫の知らせだったのかな?
労働市場の状況変化
製造業が人件費の安い国に生産拠点を移す動きは以前からあったが、今はIT技術の発達で、他の業務も世界中に委託可能になり、状況が大きく変わっている。
プロジェクト単位で人を雇うのも当たり前になり、同じ会社でずっと働くスタイルは現実に合わなくなっている。
労働者は「個人商店」になり、自分のスキルや能力が生かせる場で、流動的に働くスタイルが増えている。非正規雇用も増えている理由の一つはこれ。
日本も終身雇用などのスタイルが出てきたのは1960年代以降で、それまでは一部のエリート以外は日雇いのような状態だった(私個人は、第一次産業従事者が多かったのも違いの一つだと思う)。
稼げる仕事の変化
ニーズのある人材の変化も速くなっている。機械化できる仕事は今後どんどん減っていく(レジ係など)。
今後のキャリアを考える場合、ロボットにとってかわられる仕事を選ぶべきではない。
資産形成
日本の空き家率、災害の多さ、今後の人口減少などを考えると、家を買うときは慎重に。賃貸を住み替えるスタイルの方が状況変化に対応しやすい。
家を買う場合は、将来「資産」になる物件を買うことを勧める。
収入ではなく、資産で判定・判断する。
家については、夫退職話で買う選択肢も出ていますが、よくよく考えてからだな、と改めて思いました。自分でも、災害リスクや、自分が本当のよぼよぼになったときに建て替え問題が起こるリスクなどは気になっています。
気になった文章たち
ストレスや労働時間は、その仕事の継続性と深く関わるので、将来性を考えるうえで、十分に考慮しなくてはなりません。
危機において重要になるのは、スピードと臨機応変性です。
重要なのはアウトプット。
日本人がまず認識すべきなのは、安定した雇用というものはないということ、そして、大事なのは、自分が幸せになるのは、自分が求めることに取り組むことであって、「周囲」が期待する役割を演じることではない、ということでしょう。
この本で語られる社会の変化は、その通りだな、と感じました。
夫の勤務先の年末調整も、手書きで部署に提出だったのが、今ではパソコンで入力し、海外の委託先が処理、ですから。
町の調剤薬局の仕事も、私が働き始めた25年ほど前は、薬の説明書やお薬手帳もなく、ただ薬効や飲み方を説明し、体調変化などを軽く聞くだけでした。
今はフォローしなくてはいけない項目が格段に増え、それをきちんと記録して、患者さんにフィードバックする必要があります。コロナでオンライン服薬指導も始まりました。仕事内容はかなり複雑になり、難易度も上がっています。
この本を読んでへこまずに済んだのは、薬剤師は「なくなる仕事」リストにはなかったこと(笑) 調剤作業は機械化できても、患者さんとのコミュニケーションは人が必要ですから。幸い、私はお客さん相手なら、(商品売り込みをしなくていいなら)、接客は割と得意なので、何とか生き延びられるかな~。
いずれにせよ、
見たくなくても、現実を見て、変化に対応するのが結局は一番の生き残りの道
ということらしい。