シンプルライフへの遠い道

心穏やかな暮らしを目指して奮闘中

ハリネズミの願い   トーン・テレヘン著

表紙のハリネズミのイラストが可愛かったので読みました。

臆病で孤独で心配症のハリネズミが、動物たちに遊びに来てもらおうと招待状を書こうとするところから始まります。
でも・・・と、ハリネズミの心配な想像が延々と広がっていきます。
最初のうちは、「あっぱれなほどネガティブだなぁ」と思いながら読んでいましたが、段々、ハリネズミの想像に出てくる動物(魚や虫もいる)たちの様子を面白く感じるようになりました。

アマゾンのレビューでは、「暗くてうんざり」と言う人もいましたが、私は気に入りました。
ハリネズミの想像を、「こういう嫌なことが起こるに違いない」という被害妄想と捉えて読むと、確かに、病んでいるようで気が滅入ってくるでしょうが、「世の中色々な個性があるよね」な図鑑のイメージで読むと、楽しい。
なんだ、みんな好きにやっているんじゃないか、って。
               それと同時に、自分でどうにかできることは殆どないのだとも思いました。

自分が被害に遭ったり、嫌なことを言われて傷ついたりすると、「色々な人がいるよね」と受け取れるほどの度量はありませんが、今の自分と重ねて、「かくあるべし」って自分を縛らなくていいな、と思えました。
まぁ、そうやって無駄に自分にプレッシャーや制限をかけて自縄自縛になって一人で勝手にもがいているのが今の私の在り様と言ってしまえばそれまでですけど、もう少し力を抜いて緩く時空に漂っていてもいいのかもしれない。


自分は他の存在にはなれないから、せめて好きなことをしよう。
他の在り様なれたとしても、またその新しい在り様から生まれてくるあれこれに翻弄されるだけなんだろうな。


読むときのその人の心情によって、心に残るもの、心に浮かんでくることが変わる物語のように感じました。