シンプルライフへの遠い道

心穏やかな暮らしを目指して奮闘中

遺された人々の心の声を聴く 中島由佳利著

書名の通り、死別悲嘆についての本。

「今日、悲しくて、やたら泣けてどうしようもないのは受け入れられるけど、これが弱まることもなく延々と続くかもしれないことは受け入れがたい」というのが今の正直な気持ちです。
だからと言って、「〇年後にはこうなっていますよ」なんて神でもないのに分かった口調で予言なんかしてほしくない。
人それぞれなのは承知の上で、「おおむねこんな道筋を行く人が多いようだ」ということが知りたいのだと思います。

この本では、子供を亡くした親や、遺児にもページが割かれています。

全体を通じて思ったのは、「どうすればいいか分からないから排除する社会」なんだな・・・ということです。
悲嘆にくれる人にどう接すればいいか分からないから、「そっとしておこう」になったり、「早く元気出して」「頑張って」など相手にはしんどい言葉をかけてしまったり。
単純に、「身近に死があった昔は違った(のかも私には分かりませんが)」にしたくはない。
でも、実際には、心に大きな悲しみや苦しみを抱えた人と接するのにもエネルギーが必要で、大変でもあるから、「できない」「したくない」という人を責めればいい、ってことでもないのが難しいです。

自分が元気な時に自分の世界から排除したもの(死別の悲嘆にある人でも、病気に苦しむ人でも)に自分がなった時、自分も社会から排除されるのです。
それはあまりにも生きづらい、哀しい社会だから、少しでも生きやすさが増えないかな~と思います。

実際に、サポートをしている人、どうすればいいか日々模索している人、当事者同士で助け合っている人たちがいるというだけでも、少しホッとしました。
本当に行き詰まったら、行く場所を探せばあるのかも、ですから。

自分の経験では、わんこ仲間に、「もうそろそろ大丈夫でしょ?」ではなく、「最近はどう?」というスタンスで挨拶してもらえるだけでも、「自分のペースでいていいのだ」と思えてほっとしたから、何だか苦しそうだな、という人には、関われない、援助は出来ないにしても、突き放すのでもなく(これも難しいですが)「あなたのペースで、ありのままでいてください」な前提を醸せる人が増えたらいいのかも。
私も自分のことで手いっぱいで、他の人を助けるなんて難しいから、せめて、相手が否定された、拒絶されたと感じない空気感を身につけるのが目指す方向です。

こういうほんの小さな心遣いも、忙しくて疲れていたら出来ないわけで、社会全体がペースダウンすることも必要なのかも。実際に社会を回している人に、「現実が分かっていない」と怒られそうですけど(笑)


私のわんこロスな日々はまだまだ続きそうです。