シンプルライフへの遠い道

心穏やかな暮らしを目指して奮闘中

お別れの色 吉本ばなな著

吉本さんの本は初めて読みました。
エッセイ風日記なないようで、登場人物のことがよく分からず??と思っていたら、シリーズ3冊目でした。

内容は日々の気づきや出来事なので、「ふ~ん」という感じなのですが、押しつけがましくない語り口でさりげなく自分の意見を語っているところに、作者の力量が出ているように感じました。

その中でも印象に残ったのは、やっぱりペット(わんこ)の話。
人間相手だと、なかなか「側にいてくれるだけでいい」にならないのに、人間以外の生き物にはそう思えるのは何でなんだろう。
吉本さんも似たことを書いていて、仲間を見つけたようで、ちょっと心強い。

ペットにはこういう気持ちになるのは、対等に見ていなくて、自分が上だと思っているから?
それなら、幼い子供や要介護の人にはそういう気持ちになれるはず・・・でも、私はなれない。
種も違うし、分かり合えないこと、想像もできないことの方が多いからこそ、なんだろうな~。
ふるさとの風景を見たらほっとするとか、そういうのに近いのかも。


もう一つ、「自分の気持ち・感覚を優先しよう」とACな自分に思わせてくれたくだりも印象に残りました。

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でも、そういうちょっとそがれることが、爪のささくれを剥いてちょっとイテッ、みたいなことが、毎日た~くさん重なるとわずかにテンポがおかしくなってくるのだった。気にしないけれどかすかに残る違和感、みたいな感じ。

                      中略

こういう、ちょろ、ちょろっと力がそがれることが多すぎると思う。
それで疲れてしまうから、人はますます人に親切にできない。悪循環だ。
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一つ一つは、声を上げるほどでもなかったり、ちょっと我慢して流す方が楽で他もスムーズに回ることが多かったりするけど、その「ちょっと」の蓄積で、段々壊れていくんだよな…。
「まっ、いいか」じゃなくて、「もう、いいや」になっていく。
どうすればこの流れから抜け出せるのか、妙案はありませんが、自分はこういう傾向が強いということは頭の隅にいつも置いておきたいです。

闘うのは苦手だから、せめて、逃げよう。