シンプルライフへの遠い道

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病を癒す希望の力 ジェローム・グループマン著

副題:医療現場で見えてきた「希望」の驚くべき治癒力

著者はアメリカ人医師で、がん医療と血液疾患、エイズ治療の専門家。
この本の原書は2004年のものなので、引用されている知見にはちょっと古い感じがするものもありますが、著者の臨床経験や著者自身の腰痛との20年近い闘いなど、十分読み応えのある内容でした。

病気の回復に心理的な影響が大きいとは日ごろから思っていますが、
それがどの程度なのか、
周囲の働きかけや本人の心づもりでコントロールできる範囲はどの程度か、
良い結果につながる「希望」や「前向きさ」とは具体的にどういうものか  
   こういうことが知りたくて読みました。この点については、ぼんやりイメージが湧いた程度でしょうか。

著者は希望を「物事は結局よくなる」という楽天主義とは区別しています。
私はかなり混同していました(^_^;)

希望は、心の眼で、より良い未来へとつづく道を見る時に経験する高揚感である。希望は、その道の途上で待ち構える大きな障害や深い落とし穴を知っている。本物の希望には、妄想が入り込む余地はないのだ。

著者の言う希望は、私が日頃思っている「自分の人生を引き受ける」に近い気がします。

「こういう風に希望を持てば、どんな難病も克服できます!」な魔法があるなら飛びつきたいですが、そう簡単ではないようです。
ですが、軽い病気なら寄せ付けないとか、治りが早い、というのはあるでしょうし、表面的な予後は希望の有無で差がなくとも、本人の心の平安度は違うんだろうな、とは思いました。

「生きたように死んでいく」になるのではないでしょうか。


【気になった部分の備忘録的メモ】
身体的苦痛が増えて、酷くなっていくと、体から脳に「死が近い」とメッセージが行くように臨床経験で感じることがあるから、患者の苦痛を軽減するのは重要。

もっとも困難なのは、最初の一歩を踏み出すことかもしれない。