シンプルライフへの遠い道

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おひとりさまの最期  上野千鶴子著

社会学者の上野さんの著書。
「自宅で最期まで過ごして逝くにはどうすればいい?そうできるシステムが日本にはある?」とご自分の為に調査しておられる感じです。

私が自分のこととして情報収集するには、まだ早いです。世の中変わりますから。
夫婦でほぼ同時に死ぬ=二人でいるときに二人で事故か事件に遭う、だし、片方が倒れた場合は、もう一方がまだ元気で判断力もあるので、手持ち資金内で出来ることをやるしかない。
この著書で取り上げられている「おひとりさま高齢者の生き方・逝き方」を考えるのは20年後ぐらいがちょうどいいタイミングです。

ですが、「死生観」という観点では、課題だな~と思っているので、楽しく読みました。


「性別年齢階級別死別率・離別率・有配偶者率」のグラフに現実を突きつけられました。
H22年時、85才以上の男性の「配偶者なし率」は35%なのに対し、85歳以上の女性の「配偶者なし率」は90%近い。
男性の平均寿命の方が短いことと、夫が年上の夫婦が多いからでしょう。配偶者に先立たれた男性は、妻のいる男性より余命が縮むのも一因でしょうか。(ご本人がなくなれば、この表には出てこない)
女性は平均寿命まで生きたら、9割がた「おひとりさま」ってことですよ!!
長生きしたくなくなりました。


印象に残ったのは、著者のお父さん(医師なので、自分の病状は把握していた)のこと。
癌で死が迫っていると分かっている時期、絶望して打ちひしがれたかと思うと、リハビリ病院に転院したいと言い出したり、気持ちがころころ変わる。
そうだよな~。
著者はこの経験から、リビングウイルに懐疑的です。
私も、お金のことなどは事前に整理して残しておかないと!と思いますが、リビングウイルは微妙です。以前は、「必要!」と思っていましたが、余程意思表示の仕方を工夫しないと、かえって自分らしい死に方の障害になる可能性もあるな、と思いました。


もう一つ心に残ったのは、亡くなりつつある父親のそばにいても、(当たり前といえばそれまでですが)、あくまでも、自分でしかいられない、ということ・・・。
「死にゆくあなた」と、「これからも生きていく(であろう)私」の間に厳然とある、交わりようがない立場の違い。
こういう時、いくら相手に寄り添おうとしても、生きていく(つもり)の自分の枠から出ることが出来ない・・・。
わんこの最期の日々に、すごくそれを感じました。わんこがどのくらい自分の死を予感していたのかは分かりませんが・・・。
こういう時の死にゆく側の孤独は、生者には和らげることは出来ないから、「あの世であの人が待っている」と思えることが救いになる人もいるんだろうな、と思いました。



この手の本を読んで毎回思うのは、「可能な間は自分で決めて、自分で結果を引き受ける」
「判断力が衰えたり、助けが必要になった時は、程よく諦めて他人に頼る・託す」強さを身につけたいな、ということです。

甘えて他人に判断させて、結果に文句を言う人にはなりたくない・・・