シンプルライフへの遠い道

心穏やかな暮らしを目指して奮闘中

優しい虐待

昨夜のNHKでやっていました。
暴力やネグレクトなど分かりやすい虐待ではなく、教育やしつけの形をした過度のプレッシャー、子供の気持ちを押しつぶすやり方を「優しい虐待」というのだそうです。
 
 
番組では、子供二人が不登校になった母親が、カウンセリングに通って、自分と親との関係、自分と子供の関係を見つめ直していました。
 
取材されていた母親が、子供二人が不登校になっても、
 「自分の言動が原因とは全く思わなかった。子供がおかしくなってしまったと思っていた。」
という主旨のことを言ったのには、寒い絶望が広がりました。
 
夫とも、毒親をもつ仲間の友達とも、
「ちらっとでも、”悪意はなかったけど、自分の言動に少しは悪いところもあったのかもしれない。
 相手を傷つけたのかもしれない。”と振り返ることが出来るなら、毒親にはならないよね。」
と言うのですが、本当なんだな~と。
自分と全く関わりのない親の言葉は、冷静に距離を置いて聞けるので、
ここまで見事に自分が悪かったかもと全く思わないんだと見せつけられて、ため息でした。
 
取材を受けていた母親は、自分の親との関係を見直す合宿セミナーに参加して、
自分の親が嫌いだ!という自分の感情を見つけます。
自分の古い日記を見て、母親の期待やプレッシャーに苦しんでいた自分を見つけます。
(これをすっかり忘れていたのにも驚きました。)
そして、自分は自分の母親と同じことをわが子にしていたんだと気付きます。
 
この母親は、自分の親へのマイナス感情や、プレッシャーに苦しんだことなどを固く封印して、その封印が解けない様に「わが子への自分の言動は正しい。」と信じこんで生きてきたのかな、と思いました。
 
 
この母親のように、セミナーやカウンセリングなどに繋がって、変わっていくことができる人は
ご本人も子供たちも幸いです。
 
 
この番組を見て、「自分の親は変わらない」という思いがますます深くなりました。
TVに出ていた人は、子育て真っ只中の時期に、「不登校」という目を逸らすことが出来ない現実を突きつけられても、自分ひとりの力では、「自分に悪いところがあったかも。」と振り返ることができないのです。
中年の兄や私が親から離れても、「あいつらがおかしくなった。」としか思わないな、と確信になりました。
 
70歳になろうとしている毒親が、今更、自分の親へのマイナス感情を見つめ直す・・・もありえないですし。
誰でも、幾つになっても、自分の親は好きでいたいし、自分は親に愛されてきたと思いたいのです。それをわざわざ否定することになる思い返しをするとは思えません。
それより、「子供がおかしくなって、自分たちを苦しめる。私達は被害者。」と思っているほうが楽ですから。
 
TVに出ていた母親のように、私の親にも親自身の辛い生い立ちや事情があるのだと思います。
でも、もう年明けには70歳です。この年まで、そんな自分たちに留まり続けた結果は、自分たちで引き受けてもらうしかありません。