シンプルライフへの遠い道

心穏やかな暮らしを目指して奮闘中

護られなかった者たちへ 中山七里著

生活保護の問題:不正受給や、必要な人に支給されないこともあること…をベースにした殺人事件の話。私には珍しく小説を読みました。

生活保護」という窓から社会問題を覗いてみても、色々な要素が複雑に絡んでいて、どこか一つを改善すればスッキリ解決、皆納得、皆ハッピーとはいかないので、なすすべないのかな…と弱気にもなります。
でも、ここでも必要なのはネガティブケイパビリティで、声を上げ続けることで、関心を持ち続けることなんだろうな…、でも、それを続けるのは精神的にしんどいよな…そんな気分になりました。

私はどうしても子供の虐待問題に引き寄せてしまいますが、この問題も、10年前より良くなったとはっきり言えることが一つだけあります。それは、毒親という考え方が広まったことです。
以前は、親にネガティブな感情があることを表現することすら許されない空気がありましたが、年々それは減っていると感じます。それだけで、ほんの少し生きやすくなった気がします。
残念ながら虐待は減っていないし、ACは今も大量生産されているのでしょうが…。

面倒で、気分を暗くさせるものから人は目を背けようとするので、貧困にしても、虐待(とその後遺症)にしても、他の問題にしても、弱者に重荷を負わせて、知らんぷりを決め込もうとする多数派に押されて、だんまりになるのは向こうの思うつぼだな…と思います。
ある問題では自分が”弱者・被害者・荷を負わされし者”だから、憤って叫んでいるのに、他の問題では、自分は”多数派”で、弱者を生贄にして自分は安楽でいようとするところがあるのは、「それが人間」と言ってしまえばそれまでだけど、自分でも、何だかな~と思います。あまり見たくない自分の一面です。


見たくないものを正面から見据える精神力はありませんが、「あ~、目を逸らしているな~」位は自覚して生きていきたいと改めて思いました。