シンプルライフへの遠い道

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世界史を変えた13の病 ジェニファー・ライト著

主に伝染病についての読み物。
感染症は現代は治療できるから大丈夫~♪ と思いたいけれど、違うんですよね。

結核は薬があるけど、耐性菌に打つ手なく亡くなる方がいます。
私には1980年代のエイズ騒動ははっきり記憶があります。
今は、日本では性感染症が拡がっていて、未治療の人が結構いるそうで、お上の啓蒙活動ポスターを見かけます。
新型インフルエンザも最近のこと。
今はあっという間に世界中に拡がるので、「人類滅亡の危機」は足元にあるのかもしれません。

この本では過去の感染症 + ロボトミー手術 が取り上げられていました。
印象に残ったのは、
パンデミックが起こった時、強いリーダーシップを発揮する有能な為政者がいるかどうかが大きなカギになるということ、
隠ぺいは事態を悪くし、死者を増やすだけ、
病気を憎んで、病人は助ける、のスタンスが大事・・・でしょうか。

ペストでもエイズでも患者を見捨てる人たちがいたそうですが、家族の不名誉でも、自分に危険が及ぶ病気でもないのに、私は親に見捨てられたよな~、あの人たち、何なの? とまた毒親問題に結びつけて考えてしまいました。

危機への対処法の基本は共通なんだな、と感じました。
「現実をそのまま見る」これに尽きるのかな。歪んだ認識をもとに対応を考えても上手く行くはずがありません。

 矮小化したり、ないことにしても”そこにある”のは変えられない
 犠牲者(この本では患者)を排斥しても、根本解決にはならない
 不快でも現実を理解しようとすること、それぞれが出来ることをすること

対応が遅れたり、患者を排斥して解決したことにしようとしたり、隠ぺいしても上手く行かないけれど、逆に多くの人が協力して取り組むことで被害を小さくしたり、病気を撲滅したりできるんだ、対処法で変えられる部分が結構あるんだな~と思った1冊でした。

もう一つ、「やっぱりね」とがっくり来たのが、いつでも貧乏人、女性や子供などの弱者が虐げられる、という現実がここにもあった、ということ。
精神疾患に効く薬がなかったころ、脳の一部を破壊する「ロボトミー手術」というとんでもないことが行われていたそうですが、その手術を受けたのは女性が多かったそうです。
当時精神疾患になるのは女性が多かったのではなく、「面倒な病気になって世話が大変な家族」を大人しくさせる手術を受けさせられた、女性の地位が低くて、本人の発言権が凄く小さかったというのが事実に近いんだろうと思いました。

一般の人向けの読みやすい本でした。