シンプルライフへの遠い道

心穏やかな暮らしを目指して奮闘中

友だち幻想 菅野仁著

久々の読書。2008年の本ですが、内容に古さは感じませんでした。
中高生向けのようで、簡潔で読みやすかったです。

幸福の要素が二つ挙げられています。
1.自己充実
2.他者との交流
  2-1.交流そのものの歓び
  2-2.他者から承認される歓び
     
私自身は、「その通りなんだけど、他者と交流するときに必要な感情・感覚の回線が歪んで育っているから苦痛になることが多いんだよな・・・」です。
上手く相手の承認を受け取れなかったり、受け取らなくていいマイナス感情を何倍にも増幅して受け取って苦しくなったり。

著者の言う「他者の二重性」
1.脅威の源泉
2.生の味わいの源泉
私はこれをあるがままのスケールで受け取れないのが、息苦しさのベースにあるなぁ、と再確認でした。


「えっ?」と驚いたのが、教員(大人)に、学生みんな仲良く、なんて幻想を抱いている人が結構いるという話。これが学校がおかしな場になる一因だな、と強く思いました。
子供たちが、「お互い害をなさず共存する」と「仲良く」を混同するのはイメージできますが、それを混同したままの指導者の作った場にいたら、人間関係おかしくなるのが自然な流れ。
職場で、ウマの合わない同僚と友達付き合いしなさいと言われて、出来るわけがない。
子供同士の付き合いでも全く同じだと思うのですが…。
まぁ、未だに親子関係を「愛と信頼で繋がった運命共同体」と信じていたい人が多いと感じるので、学校という場でもそうなのかな…とも思いますが。これは、本が書かれた10年前とさほど変わっていないように思います。学校現場のことは全く分かりませんが。

友だち関係では、こういう提案がありました。
・自分を全部理解して受け入れてくれる人はいないとわきまえる
・気に入らない相手とは距離を取りつつ共存し、お互いに攻撃しない(自分の安全確保のためでもある)
・”場”をまわす最低限のルールは大事にしよう

私自身、未だに人間関係試行錯誤状態なので、人付き合いの基本中の基本が簡潔にまとめられていていい本でした。

正直、実践は出来ていなくても、知識としてはこの本で書かれていることくらいは大人なら知っていないと厳しいな、とも思いました。


この本で紹介されていたニーチェの言葉が心に残りました。

  「愛せない場合は通り過ぎよ」