シンプルライフへの遠い道

心穏やかな暮らしを目指して奮闘中

仮面ひきこもり  服部雄一著

副題:あなたのまわりにもいる「第2のひきこもり」

自分では「引きこもり主婦」だと思っているので、実際どうなの?と読んでみました。
どうやら仮面ひきこもりとは違うみたいです。
一応外出したり、習い事したりしているので、「社会的引きこもり」ではないですし。


自室に籠って社会生活(働かず、学校にも行かず、地域活動に参加するなどの社会活動もしていない、いわゆる”ひきこもり”)と違い、社会生活は送れているけれど、心はひきこもりの人を仮面ひきこもりと著者は呼んでいます。

「どの患者も母との絆に問題があり、4つの基本症状-人間不信、対人恐怖、感情麻痺、表と仲の2つの自分-があった」
と著者は書いていますが、この本は「生理的に受け付けないもの」がありました。(あくまで私の主観です)

まず、養育者との絆・愛着の問題を「母親」に限定していること。父親はどこへ行った?
夫不在・夫婦に愛のないの家庭で、妻(母親)がこじれていくことなどには言及していますが、父親不在の子供への悪影響などは書かれておらず、自分が女性だからか、「女の問題」にされていると感じました。
母性を学ばずに育った女性は、自分の子供を愛することが出来ず、子供を「仮面ひきこもり」に育ててしまう、という論も、現実の一部だけしか取り上げてないよな~。信田さよ子さんの家族論や、岡田尊司さんの愛着障害論の方が私には素直に受け取ることが出来ます。
  
仮面ひきこもりの人を「病気」「患者」と表現するところ。これは精神疾患なのか?
著者は多重人格の専門家だそうで、多重人格になる前段階、症状が弱い人という捉え方で「患者」と言っているのかもしれません。でも、すごく抵抗感があります。

カウンセリングを受けない限り、快復はない、という断言にも賛成できません。
カウンセリングが効果があることは認めますが、快復には他のルートもあるわけで、断定するのはいかがなものか…。
微妙で曖昧模糊とした心の問題を扱う人なのに、乱暴だな~と思いました。正直、この人のカウンセリングは受けたくありません。
あなたは○○病です、治療法はこれです。あなたは今ステップ〇にいます。
こんな感じで乱暴に判定されそう。それが正しくても、私は「押しつけ、横暴」と感じて受け入れることはできないだろうな・・・。


気に入らない部分はさておき、本全体は、アダルトチルドレンの対人恐怖が強く、相手に合わせすぎて自分を失っている人を分かりやすく説明してありました。

この本を読んで、今は自分は仮面ひきこもりではないと分かりました。かつてはそうであったことも再確認しました。

著者が回復者の特徴にあげているのが、
・人間関係のリストラ 本当に心許せる人とだけ付き合う
・思ったことを自然に表現する
・質問できる
・外国人(感情表現豊かな人)を人間として理解する
・新しい人生の始まり(未来に目が向く)
この5つですが、おおむね当てはまる気がします。

私の対人恐怖は徐々に和らいで、最後に残っていたのは「職場の同僚」です。
今どうなのかは、もう一度働いてみないと分かりません。
ただ、精神的に健康な人でも感じる職場の人間関係のストレスと、自分が感じるものの差(自分が感じているものはACからくる歪んだものなのか)の違いを見分けられる自信は全くありません・・・。