シンプルライフへの遠い道

心穏やかな暮らしを目指して奮闘中

働かないアリに意義がある 長谷川英祐著

phaさんのブログで紹介されていて、興味が湧いたので読んでみました。

アリの中には、一定割合働かないアリがいて、そのアリを群れから取り除いても、やっぱり働かないアリが出現する。
この「働かないアリ」は、緊急事態で仕事量が増えたり、日ごろ働いているアリが疲れて働けなくなったりしたら働く。

なるほど。
労働の調節弁という意味では、専業主婦の社会的役割に近いのかな、と思いました。
ネットで専業主婦バッシングを見ると、「専業主婦のおかげで受けている恩恵が分からないんだね」と思っていました。専業主婦(短時間パート労働も含めて)が消えたら、結果的に税金が凄く上がるし、働きにくくなるよ?と思う。

高齢者介護でも、主婦バッシングする人は、「今は介護保険もあるし・・・・」と言うけれど、実際には、
 ケアプランの相談には「身内の方も同席してください」になり、
 支払い請求が届き(請求先は高齢者本人ですが、支払い管理よろしくね、ということらしい)、
 ちょっと困った体調になると、 
   医師に、「次回、詳しく説明しますから、お子さんにも来てもらってください。」になり・・・
これ全部、フルタイムでガッツリ働いている人がやろうとしたら、仕事休むしかないよ?という話になります。実際、両立に苦しんで、介護離職する人が増えているとか。
(全て、知り合いの主婦たちの体験談)

「みんな働いているんだから、こういう相談は週末か夜に」と言い出すと、今度は医療や福祉関係者の労働環境が悪くなる&人件費高騰→税金上がる になるんだよ? と言いたい。
もちろん、専業主婦皆が、子育てや介護しているわけじゃないですけど、身内が入院すると、留守番になる親戚の子供たちの子守りまでが役目としてまわってくるのが主婦=労働力の調節弁 なのが今の日本の現実です。

この現実にはいろいろと問題があるし、私も今のままでいいとは思っていませんが、社会には、一見無駄に見える「ゆとり」が必要なんだ!と嬉しくなりました。



他の個体が一生懸命作っているシステム(社会)の恩恵だけ受けて、義務を果たさない「タダ乗りさん」も昆虫の世界にもいるそうで、社会を作ると、どこでもこういうことが起きるんだな・・・、人間界独特じゃないんだな・・・と楽しく読みました。