シンプルライフへの遠い道

心穏やかな暮らしを目指して奮闘中

母さんがどんなに僕を嫌いでも  歌川たいじ著

私にはとても重い本でした。(漫画なんですけど)

酷い虐待を受けて育った著者が、成人後、加害者の母親と新たな関係を築くまでの話。 かな?

この本を、「やっぱり親子は心通わせないとね! 努力次第で、和解できるのよ。家族って素敵!」と受け取ると、そうできない私にはしんどいだけ。
親と上手くいかない=努力が足りない(自己責任)になってしまいます。

ニートのphaさんは、「自己責任と言っても、責任範囲はせいぜい半分で、残りは社会情勢やその人の状況によると思う」と言っていましたが、私はこの考えに賛成です。
著者が母親と新しい関係を作ることが出来たのは、著者の何年にもわたる忍耐と努力も大きいけれど、母親の方も、孤立して、借金背負って追いつめられて、息子に助けを求めた、というのもあると思います。
母親に居場所やお金があった時は、著者が手紙を書き続けても無視していたのですから。

著者は、母親から離れても、記憶からは逃れられないから、新しい(自分が望む形の)記憶で上書きするしかない、と、母親に再度接触して、向き合うことを選びました。
自分の望みを正直に自覚して、望みを叶えるために、しんどい道を選んだところが素敵なところで、
「親と和解できたからすごい」のではないんだよね・・・と、思います。

私は、親とは離れるのが自分の幸せのためだ、親にさんざん嘲られて、見捨てられた心細い気持ちでいたこれまでの自分を裏切って、親に愛されようと無駄な努力して、親の満足のために動いたりしない、という気持ちに正直にやっているので、これは今の私には自分に正直な選択だから、これでいいんだね、と思いました。