シンプルライフへの遠い道

心穏やかな暮らしを目指して奮闘中

死後のプロデュース  金子稚子著

以前読んだ「僕の死に方 エンディングダイアリー」の著者の妻が、夫の死後書いた本です。
 
著者は亡くなった夫からの「引き継ぎ」を一つのキーワードにしていますが、正直私にはピンときませんでした。
おそらく著者が言っている通り、「自分の大事な人を亡くしたことがない」ので、何かを「引き継ぎ」たいと思ったこともなく、実感がないからだと思います。
私にとっては、既に亡くなっている”いい関係・イメージのあった人”も、懐かしく、慕わしく思い出すだけで、その人の声が聞こえてきたり、って経験がないのでよく分かりませんでした。
 
「引き継ぎ」という言葉も著者がどう定義しているのか、消化できませんでした。
「託された遺言」とも微妙に違うような、それも含まれるような・・・。
関係が濃密だった人とは、死後も関係は続く・・・という主張には共感できたのですが、
私は、「引き継ぎ」より、「遺言」の方がしっくりきます。
亡くなる人が残る人に託すあれこれ。なぜ、託したいのかの理由も説明し、どうして欲しいかもちゃんと伝える。
でも、実行するか、どう受け止めるかは託された方が決めるわけで、「引き継ぎ」っていうと、仕事の引継ぎのように、「頼まれたけど、やらない自由」が残った方にない感じがして抵抗がありました。
著者はそういうニュアンスは入れていないとも感じたのですが、どうしても、親から強制されたものを拒絶する自由なく過ごしてきた数十年の体験から、反射的に過剰防衛が出てしまい、すんなりと著者の主張を受け止めることは出来ませんでした。
 
著者が言おうとしていることの多くは、共感できそうなのに微妙に理解できず、もやもやが残る本でした。
もう少し時間が経って、著者の気持ちが落ちつてから書いた本を読んでみたいです。