シンプルライフへの遠い道

心穏やかな暮らしを目指して奮闘中

死刑でいいです  池谷孝司編著

16歳で実母を殺し、その後面識のない女性二人を殺し、25歳で死刑になった男のお話。
 
暴力父とその死、母子家庭の貧困生活、苛め・・・広汎性発達障害と診断されたこともあったが、フォローもなく孤立していった・・・・。
 
丁寧に取材して書いてあり、広汎性発達障害の特性や、サポートがあるかどうかでの違いなどに、目が行きました。
 
この本を読んでいる時に、あるTV番組で、認知症と他の病気で自分で食事もとれなくなった高齢者が、とある施設に入って、寄り添うケアを受けて、食事を自分で食べ、車いすで散歩するほど回復し、穏やかに看取られていく話を見ました。
 
 
どういう人でも、その人の気持ちを大切にしてもらえるか、自分のありのままでいてもいい場所と時間があるかでこんなに違うんだな~と、この本に出ていた犯人との違いを思うと、犯罪は許せないけれど、切なくなりました。
 
 
私自身、親には精神的に見捨てられていたので、「寄り添う気持ち」はキーワードの一つです。
こんなにも必要なものを、幼い時に十分に与えてもらえなかった。
たまたま、育った家庭が経済的には安定していたから。たまたま、成績が良くて、家でも学校でも認めてもらえる部分もあったから。
ちょっとした違いだけで、自分はこうやってここにたどり着いているけれど、何か一つ二つ違っていたら、自分は社会から排斥・抹消されていたのかもしれません。