シンプルライフへの遠い道

心穏やかな暮らしを目指して奮闘中

父親について

親のことを考えると、途中から腹が立って考えるのを止めるのが常ですが、極力数歩離れて冷静に彼ら全体を見る努力をして、これまでを振り返ってみました。
 
小さかった頃
私がなついていたので、可愛がられたらしいのですが、
ぐずったときに、「ねぐずっている!」と吐き捨てるように言われ、見捨てられた記憶がはっきりあります。
孫がぐずったとき、罵声を浴びせているのは何度か見ましたが、あやしているのは一度も見たことがないので、私もあやしてもらったことはないのかも。
 
小学生低学年頃
家族旅行に行ったり、夏休みに毎週プールに連れて行ってくれました。
が、日頃は酔っている姿か、だらけてTVを見ている姿しか記憶がありません。
 
それ以降~高校卒業まで
兄が中学生になり、家族一緒の行動を嫌がるようになってからは、家族でのお出かけや旅行は格段に減りました。
父親とは、たまに映画に行くくらいで、あとはやはり「家では酔っぱらって、野球中継を見ている人」でした。
 
大学生以降~
私が家を出てからは、単なる支配欲求からあれこれ口出しされることはあっても、気にかけてはいなかった気がします。
海外旅行の前日に電話したら、数か月前から旅行に行くと知らせていたのに、突然、
「どういう日程なのか、ホテルの予約はしているのか。」など干渉しだして、私が切れたこともあります。
本当に心配して言っているのなら、旅行の話が出た段階で言うはずが、前日に言うあたり、単なる思い付きで口をだし、自分の支配力を確認したいだけなのが見えてうんざりしました。
 
 
思い返すと、父親が、愛情深く見守ってくれていた思い出は二つだけ。
小さい時に、家族旅行で登ったぼた山から私がなかなかおりられなかったとき、父親が付き添って、私のペースに合わせて励ましながら下りてくれたこと。
待たされた他の家族が文句を言っても、「体が小さいんだから仕方ないだろう。」とかばってくれました。
 
中学の時、父親と二人で映画に行き、立ち見だったせいもあって体調が悪くなりました。
優しく介抱してくれたし、後で文句も言わなかった。
 
 
あとは、私のことは何も知らないんじゃないの? と思うほど。
私がどう考えているかも勝手に一人脳内会話して、私が否定して説明しても聞かないし。
基本、バカにして嘲笑するのが彼のスタンス。
 
酷い酔っ払いが、周りの言葉は聞こえていて、返事もするけれど、実際には聞いていない・・・あの状態が、彼のいつもの状態。
 
おそらく、5歳くらいで心の成長が止まっているのだと思います。
自他の区別は多少ついているけれど、自己がはっきりしていないので、他人には他人の考えや事情や命があることは分からない。
情報としては、「お友達が嫌がることはしてはいけません。」は分かっていても、他人も自分と同じように傷つくとか、喜ぶと分かっていないので、 行動につながらない。
私もそうなので分かるのですが、彼は自分の感情や感覚とも上手くつながっていないのではないかと思います。
自分の感情や感覚の存在をはっきり感知できないのに、自然に他人を思いやるのは無理ですから。
私のように、周りに迎合することで生き延びてきた人は、逆に他人の思いにだけ過敏になりますが、父親は、己の殻に閉じこもって、自分の感覚も、他人の感情もシャットアウトして傷つかないようにしてきたタイプなので、思いやり、想像力が絶望的に欠落しています。
 
 
彼にとっては、私は単なる支配と嘲笑の対象でしかない。
愛情と支配を混同しているし。
 
彼の場合は、Aさんには思いやりを示せるけど、娘(私)には無理、とかではなく、
誰に対しても、心を通わせたり、思いやって寄り添ったり、寄り添ってくれる相手に親愛の情を返したりができないので、どうしようもないな・・・。
 
彼がこうなってしまったのは、おそらく祖父の虐待のせいなので、気の毒ではあるけれど、
私がACな自分を何とかするのが自分の責任なように、
親元離れて50年以上の父親が、自分の人生の中で学んで、何とかするのが彼の責任だったはず。
彼は、空威張りして誰とも気持ちが通わなくても平気なのかもしれないし、
実は違和感や寂しさを感じているけど、弱みを見せて相談したり、問題と向き合うことが出来ずにいるだけなのかもしれない。
以前から、寂しいと言っているので、解消できない寂しさには付きまとわれているのだと思います。
でも、これは彼の選んだ人生なので、私には全く関係ないこと。
 
 
父親自身、今でも、何でも受け入れてくれて、見守ってくれる「母なるもの」を求めているんだろうと思うことがあります。
健診結果を送ってきたり、しつこく「写真を見ればお父さんが元気だと分かると思います」と言ってきたり、
  かまって! 心配して! と叫んでいる気がする。
 
でも、気分に任せて嘲ったりしても、離れていかず、いつもここにいて自分を案じていてほしいと思っている・・・・そんな気がします。
以前は妻に求めていたのでしょうが、母親もプチ鬱になったり衰えもあるし、底意地の悪さは父親に負けていないので、距離を取る前は、何でも受け入れていた私に「母なるもの」を求めるようになったのかな。
 
私も母なるもの、父なるものを求めているので分かるのですが、これはどんなに求めても、
「幼児特権」で得られるもので、時期を逃すと永遠に手に入らない。
他の「似たもの」はあっても、そのものずばりは手に入らない。
 
父親は自分が母なるものを求めている自覚もないので、諦める方向に転換も出来ず、ずっとあがいているように見えます。
 
 
他人の話を聞けない、心の通じない人。
母なるものの希求者。永遠の5歳児。おそらくAC(彼が生き辛さを感じているのか分かりませんが)