母親には育児放棄を受けて育った著者の半生記。
虐待の内容が半端じゃなくて、なんとも言えない気持ちになりました。
母親も食事をくれないので、露店が捨てたものから食べられる物を探したり・・・。
心の支えになってくれる大人がいるかどうかで、その後が全く違う。
のが一番印象に残りました。
5人兄弟のうち、著者を含む上三人は、大おばによく数週間単位で預けられました。
大叔母は必要な世話をしてくれるし、愛情を注いでくれるし、生きていくうえでの知恵も授けてくれます。
著者は、大叔母の家での生活と、自分の家の生活の違いがはっきり分かるので、
「自分の親は異常だ」と幼い時から気付いていたし、特に父親を嫌うことが出来ました。
上の三人はそれぞれ親から離れ、自分の道を進んでいきます。
が、大叔母が高齢等を理由に世話をしなかった(おばあちゃんに5人の幼子の世話をしろというほうが酷です)下の二人は、違いました。
一人は、薬物中毒か自殺かで亡くなり(はっきりとは書かれていません)、
父親にレイプされていた妹は、不思議と父親をかばったり、大人になっても父親との付き合いを続けたり。
他に世界があって、自分の親はおかしい!とはっきり学ぶ機会がないと、こうなるんだよな~とあんな親と離れることを思いつきもしなかった哀しい自分と重なりました。
更に気持ちを暗くさせたのは母親。
娘達が夫に性的虐待をされているのを見てみぬふりをするのは、
残念ながら、DVを受けている妻には多いと聞きます。
一番がっくりきたのは、父親が死んだあと、自分も散々殴られ、罵られ、レイプされ、売春までさせられたのに、「お父さんはいい人だった」と語るくだりです。
事実をありのまま受け入れたら、自分の人生何だったの? になるから、
事実を捻じ曲げているんだろうな~とは分かりますが、でも、哀しすぎます。
私の親もこれをやるんだろうな。
私も無意識に記憶を塗り替えているのでしょうが(人は皆、心が壊れないように、程度の差はあれやっているそうです。)、大切なポイントでは、「自分は都合よく記憶を塗り替えてないかな?」と自問することは忘れたくないです。
著者の強さには沢山励まされました。
私も自分の道を進みたいと思います。