シンプルライフへの遠い道

心穏やかな暮らしを目指して奮闘中

何をやっても癒されない  春日武彦著

「情性欠如者」という言葉を教えてくれた本です。
 
精神科医の著者のエッセイ。
面白いところと、そうでないところがありました。
 
悲しくなったのは、ACについてのくだり。
 「分別盛りの大人までもが自分の問題行動を棚に上げ、自分は加害者ではなく被害者であると主張したものであった。巷には「自称AC」があふれ返り、内省や反省といった概念が消滅しかけたものである。」
と書いてありました。
精神科医でもこれなのね・・・と。
 
ACは、「自分のせいでこうなったんじゃないんだから、回復に向かってもいいんだ。」と思える
お墨付き・免罪符が必要なのにな~
 
著者は、「自分はACだから、生きやすい様に変わろうとしないことも含めて、全て免罪されるべき」と主張する人たちに沢山会ったのかもしれませんが・・・。
 
が、
著者が産婦人科医から精神科医に鞍替えした理由にはしびれました。
 
「子供を産み育てるということは、途方もなく重い責任を引き受けることである。・・・(中略)・・・相応の覚悟を持ち、見通しや展望に基づいて腹を括ってもらわなければ困るのである。」
 
と著者は思っているのに、
 
実際には、離婚されない保険だとか、もう中絶できない時期になったからとか、どうして女の子が欲しいから女の子を授かるまで産むとか、無分別に親になる人が多い。
「いずれにせよ子どもを道具かせいぜいバービー人形程度としてしか捉えていない親の多さに呆れてしまったのである。
 こんな親たちの安易な発想や無分別に加担することに、わたしはつくづく嫌になった。」
 
のだそうです。
 
相手の性格の問題を、「子どもを生み育てたことがないからだ。」にすりかえて、自分に子供がいる優越感に浸りつつ相手を貶める人、
私が30代だった頃、安易に子供を産むことを勧める人、
自分は子育て中だから、相応の配慮や待遇を受けてしかるべき、こんな自分でも許され、世の中に受け入れられて当然という思想がだだ漏れの人・・・
    これまで、「何だかな~」と思いながらも、自分に子育て経験がないので
    反論も出来ず、悔しい思いをしたことが何度もありました。
 
子どもがらみの話題で、「何だかな~」なことを平気で言う人の多くは、
著者の言う「無分別に親になった人」なんだろうな~
                   と思えて、ちょっとホッとしました。
 
 私は、自分に子供がいないことには納得できていますが、
 だからと言って、子供がいないだけで低く見られたり、人柄に問題あり?にされるのが
 平気なわけではありませんから。
 
本のメインの内容とは全く関係のないところで、色々と考えさせてくれた本でした。