シンプルライフへの遠い道

心穏やかな暮らしを目指して奮闘中

老いへの不安   春日武彦著

精神科医の著者の老いへの思いあれこれのエッセイ。
ご本人の体験や、小説からの引用、ご本人のボヤキにも似た思い・・・を、
精神科医らしく、ちょっと距離を置いて冷静に、でも、正直に書いてあって面白かったです。
 
一番心に残ったのは、自分の理想とする老いの姿とか、老いを前に狂乱する人の姿とか、今の日本には、「こうなりたいと思える老人の見本になる人」があまりにも少ないこととかではなく、
お母さんとの関係についてのくだり。
 
--------引用--------
 
・・・・当方と母親との間にはいまだに微妙な「わだかまり」がある。おそらくそれは修復不能で、だからそのまま「わだかまり」を先送りしつつ老いと死によって帳消しにしてしまう腹づもりが何となく親子で成立していたのである。
 
---------引用終わり-------
 
著者は、母親の希望を受けて一緒にサーカスを見に行く程度には母親との付き合いも続いているのですが、こういうことを自覚している。
何だか励みになりました。
 
時が解決する-親子関係の場合は、平均で言えば親が先に逝く事で一つの結末に強制的に至る-これを期待してもいいんだな~
 
こういう気持ちは既に心の中に存在しているので、良いも悪いもないのですが、
つい後ろめたく思ってしまいます。
でも、嫌な同僚が辞めてくれたらHAPPY!と思う・・・この感情は否定しません。
その延長なんだと思います。
親子関係は離れたからそれで終わりにはならないので、こう思うのも仕方ないんだな~