シンプルライフへの遠い道

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結婚帝国 女の岐れ道

私の好きな 信田さよ子さんと 上野千鶴子さんの対談。
10年位前に、当時の30代女性を取り上げているので、丁度私世代の女性の話です。
 
私にとってのキーワードが沢山ちりばめられていて、楽しく考えながら読みました。
 
「本当の私」 信田さんはこの言葉が嫌いだそうです。
         私にとっての、「本当の私」は、既に存在しているけれど、もやがかかっていて
          見えにくい”自分自身”。
         (もやの多くは、親の価値観の押し付けや、無遠慮な批判などで心が萎縮した為
          かかっているもの)
         信田さんは「今の自分は偽物で、どこかに本当に自分がいるはず」という論調で
         語られる”本当の自分”が嫌いだそうです。
 
         一つの言葉でも、捉え方が違うな~ と思いました。
 
「家庭を持つと、自分という単位が妻とか子供に広がる」
「家族が自己アイデンティティに重なる」
  武田青嗣が言ったとか。
  父親の、家族は私物感覚をおきれいに表現するとこうなるのね・・・
  男って(少なくとも私以上の世代は?)こう思ってるのかな(怒)
 
「理論家の役割は、理論の選択肢を増やすこと。(人は自分に一番都合のいい理論を選び取るものだから)」
「理論は正しいかではなく、つごうがいいかどうか」
 
上野さんの言葉ですが、すごく新鮮でした。
私は理系の実験系だったので、「理論(論文)どおりに他の人がやっても、全く同じ結果が出るものでなければ理論と呼べない」と思っていました。(理系ではこれが常識)
社会学ではそうじゃないんですね。
そうか、私は自分の都合のいいように、ACだとか、トラウマだとか、父親はアルコール依存だとか言葉を拾ってきて、好きに自分の過去に名前を付けてきましたが、これでいいんだ~と
ほっとしました。
 
社会の現状とか、人間関係とか、人の心理とか、複雑すぎて、「正しい理論」なんて無理。
ある切り口で見ると、正しいかな?はあるでしょうが。
 
 
「自分のやりたいこと」
 お二人とも、私から見ると、自分の道を見つけた方のように見えますが、
 「自分のやりたいことなんて見つからなかったよね~」
 と意気投合していらっしゃる。
 何だかホッとしました。
 私も、目の前の選択肢の中で、自分に合っていそうなもの、比較的好きなこと、やってみたい  ことを選んでここまできました。
 これで十分なのね~
 「これに賭けて、わが人生悔いなし」なテーマなんてないんじゃないかと思っていました。
 最近就活絡みで「仕事で自己実現」とか、「自分のやりたいことは何か」と自問自答、なんて見 聞きして、「えっ、今どきの若い人はそんなこと掴める人もいるの?すごい!私ってもしかして ダメなの?」と思っていました。
 今の路線で十分だと思えて、気が楽になりました。
 
他にも沢山気になるところがありました。
女は、男に選ばれて妻の座に収まってなんぼ。
  こういうジェンダーの呪いって私の中にもあるな~と考えさせられました。
  自分に経済力があって、結婚しなくてもOKだとしても、
                  結婚しなければ、夫実家のあれこれに関わらずに済むとしても、
  何となく居心地悪くて、自分は結婚を選ぶだろうな~と思うから。
 
  独身の人より、夫婦仲の悪い既婚者の方が、何となく”座りがいい”ように感じてしまうのも
  そうかも。
  個別に見ると、本人が幸せな状態にいるのが良いと思うのに、です。