そもそも、身体にいい食事って何なのよ?という疑問の答えを探してさまよってきました。
4、5年前に入院した時の病院食は、私の感覚からすると、炭水化物が凄く多く、野菜が少なく、肉や魚、乳製品、卵などのたんぱく源は私の感覚に近かったです。で、「これが厚生労働省お墨付きの健康食なの?ちょっと違うんじゃない?」と体感したのも大きいです。
この本は、いかにも科学的根拠があるような言い方、論文の引用などをしながら、実は信頼性の低い情報を寄せ集めて、「○○は体にいい、悪い」と言って不安をあおっていることが多いことの解説がメインでした。
例えば小麦グルテン。確かに、グルテンをとると体調が悪くなる人が一定数いて、そういう人たちはグルテンを避ける必要があるけれど、そうでない人がグルテンを避ける意味はない、らしい。
(そばアレルギーではない人が、そばを避けても健康に影響しないのと同じ?)
この本で取り上げられていた本(グルテンを食べるべからず、な内容)は私も以前読んで、2週間、グルテン断ちをやってみたことがあります。調味料のグルテンはとっていたので厳密な実行ではありませんでしたが、体調が変わらなかったので、私は小麦断ちしなくていいな、と判断しました。
脂肪、砂糖、塩についての説も、実際には科学的根拠のあるデータは揃っておらず、「美味しいものはよろしくない・・・清教徒的禁欲主義(著者はアメリカの現状について述べています)の影響」、「”昔は良かった”を信じたい」:祖父母の時代の食事は健康的だったから回帰すべきとか、原始時代の食事が人間本来の食だとか、「人工物より自然なものが体に良い」伝説だとか、他の要素も絡んで通説ができ、人々を惑わせている。
・・・通読してこのように受け取りました。
ただ、著者の論の展開にも違和感があり、「あぁ、本当に、何をどれだけ食べればいいかなんてわからないんだな」と感じました。
これは以前から思っていたことです。
マウスやラットなど寿命の短い実験動物なら、飼育環境を揃えた上で、食事だけ変えて、病気の発症や元気さの経過を比べることが出来ますが、人間は、食事については自己申告が殆どだし、写真で食事情報を残すとしても、一生分の分析は出来ないし、調味料の量や、使った油の品質(酸化していないかなど)までは分からないので、正確には比べられない。
”健康的な食事”として、長寿者の多い地域での聞き取りや、その地域での標準的な日常の食事についての調査などから、「こういう感じがいいみたいだよ」というのが一番信頼できるのかな?と思っていましたが、当たらねども遠からずのようです。
例えば、脂身の多い肉が血管を詰まらせる一因、というのも、本当は、肉100gに対して野菜300gを食べれば問題は起きないけれど、肉ばかり食べる偏りが問題な場合もあるんじゃない?その辺の「栄養バランスの影響」を調べることは可能なの? という疑問が・・・。
砂糖にしても、血糖値を一気に上げるような大量摂取や、常に砂糖たっぷり食品を食べて、血糖値上げっぱなしは良くないだろうと私も思いますが、糖尿病・予備軍ではない人が、たまにケーキを食べるのもタブーなのか? 一口サイズのアイスを1日1-2個食べるのが楽しみじゃいけないのか? 分からんです。
著者推奨の食べ方には納得でしたが。
1. ながら食べをしない
2.週に4日は30分以上かけて料理をし、20分以上かけて食べる(内容は問わない)
巻末の「アンパックダイエット」には騙されて洗脳されそうになり、「私、ダメだわ」でした(^_^;)
(プラスティックなどの包装が良くないという嘘の説)
昔の健康な時代はこうだった、今とこう違う、科学的にもこういうことが判っているから、これがダメなんですよ。だからこういう風に暮らしましょう(食べましょう)というよくある論展開にすぐに染まってしまいます。
・・・食事内容についての説には、しばらく接触しないようにしよう・・・
自分がすぐ騙されることだけはよく解りました。
科学的根拠が現時点で薄い、ないからと言って、それが嘘だというわけでもないのがこまるところです。食事については、結局は自分の身体で試すしかないと思います。
ほどほどの量
同じ食品ばかり食べない
ながら食べをしない(これが難しい!!)
野菜をたっぷり(多種類の野菜をさまざまな調理法でたっぷり食べることが健康に悪いという言説に出会ったことがないので、これは大丈夫・・・なはず)
油の種類はともかく、古くなった油は避ける(酸化した油でも問題ないという言説にも出会ったことがないです)
こんな感じでしょうか。
自分の騙され易さがよく理解できたという意味で、為になる本でした。